不動産投資で耳にするサブリース契約とは何でしょうか。サブリース契約が法律上どのように扱われているのか、通常の賃貸借契約と比べてどのような点が異なるのでしょうか。

サブリース契約とは?

サブリース契約とは、建物所有者が、不動産会社(サブリース会社)に一括して賃貸し、サブリース会社から入居者である転借人に転貸するという契約をいいます。

建物所有者からサブリース会社に対する賃貸借契約を特に「マスターリース契約」、サブリース会社と入居者との転貸借契約を「サブリース契約」と呼ばれています。

サブリース会社は、建物所有者に賃料収入を約束したうえで一括して建物を借上げ、これを入居者に借上げ賃料より高額の賃料をもって転貸し、賃料の差額により収益を得ます。

建物所有者からみると、➀賃貸事業の専門家を活用して効率的に手間をかけずに専門家な賃貸管理を行い、②空室や賃料下落のリスクを、サブリース会社の賃料保証などによって、排除・軽減しながら、賃料収入を取得する事業を行うことができるという利点があり、サブリース会社からみると、自ら資金を調達して、取得しあるいは建物を建築することなく、賃貸事業を行うことができるという利点があるとされています(東京地方裁判所平成21年7月31日判決)。

【問題点1】借地借家法の適用

借地借家法は不動産の賃貸借契約に適用されます。

サブリース契約のうち、マスターリース契約に借地借家法の適用があるかという問題について、マスターリース契約も建物所有者とサブリース会社の賃貸借契約にほかならないため、借地借家法の適用があるものとされています(最高裁判所平成15年10月21日判決)

【問題点2】賃料減額請求の可否

賃料減額請求は借地借家法32条1項に基づいて認められる請求権です。

借地借家法第三十二条(借賃減額請求権)

1 建物の借賃が、土地若しくは建物に対する租税その他の負担の増減により、土地若しくは建物の価 
 格の上昇若しくは低下その他の経済事情の変動により、又は近傍同種の建物の借賃に比較して不相当
 となったときは、契約の条件にかかわらず、当事者は、将来に向かって建物の借賃の額の増減を請求す
 ることができる。ただし、一定の期間建物の借賃を増額しない旨の特約がある場合には、その定めに
 従う。

サブリース契約に賃料減額請求が認められるかという問題がありますが、これについては、サブリース契約も賃貸借契約であり、借地借家法の適用がある以上、賃料減額請求も認められるものとされています(最高裁判所平成15年10月23日)。

また、賃料増額請求は強行法規であり、特約等によりその適用を排除することはできません(最高裁判所昭和56年4月20日判決)。

【問題点3】正当事由の判断

建物賃貸借契約の解約には、借地借家法第28条のもと「正当の事由」が必要とされています。

借地借家法第二十六条(建物賃貸借契約の更新等)

 建物の賃貸借について期間の定めがある場合において、当事者が期間の満了の一年前から六月前ま
 での間に相手方に対して更新をしない旨の通知又は条件を変更しなければ更新をしない旨の通知をし
 なかったときは、従前の契約と同一の条件で契約を更新したものとみなす。ただし、その期間は、定
 めがないものとする。

 前項の通知をした場合であっても、建物の賃貸借の期間が満了した後建物の賃借人が使用を継続す
 る場合において、建物の賃貸人が遅滞なく異議を述べなかったときも、同項と同様とする。

 建物の転貸借がされている場合においては、建物の転借人がする建物の使用の継続を建物の賃借人
 がする建物の使用の継続とみなして、建物の賃借人と賃貸人との間について前項の規定を適用する。

借地借家法第二十七条(解約による建物賃貸借の終了)

 建物の賃貸人が賃貸借の解約の申入れをした場合においては、建物の賃貸借は、解約の申入れの日
 から六月を経過することによって終了する。

 前条第二項及び第三項の規定は、建物の賃貸借が解約の申入れによって終了した場合に準用する。

借地借家法第二十八条(建物賃貸借契約の更新拒絶等の要件)

 建物の賃貸人による第二十六条第一項の通知又は建物の賃貸借の解約の申入れは、建物の賃貸人及び賃借人(転借人を含む。以下この条において同じ。)が建物の使用を必要とする事情のほか、建物の賃貸借に関する従前の経過、建物の利用状況及び建物の現況並びに建物の賃貸人が建物の明渡しの条件として又は建物の明渡しと引換えに建物の賃借人に対して財産上の給付をする旨の申出をした場合におけるその申出を考慮して、正当の事由があると認められる場合でなければ、することができない。

サブリース契約にも借地借家法が適用される以上、マスターリース契約における建物所有者からサブリース会社に対する解約には「正当の事由」が必要になります。

さらに進んで、そこでの「正当の事由」の判断において、通常の賃貸借契約と比べてサブリース契約であることがどのように影響するのかが問題になりますが、多くの裁判例ではサブリース契約であることが正当事由の判断において独立の考慮要素でないとされています。

まとめ

サブリース契約は、サブリース会社が賃料を保証してくれるため、空室リスクを負う必要がなく、一見するとお得な契約のように思えるかもしれません。しかし、諸経費の負担や賃料減額の問題に加えて簡単には契約を解除することができない等、様々なデメリットがあります。

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