競売物件は、一般の市場からすると破格な値段が付くことが多く、魅力に思えるかもしれません。しかし、競売物件は必ず値段に対応したそれなりの理由があります。このコラムでは競売物件を買い受けるまでの流れや注意点などを紹介します。

競売物件を買い受けるまでの流れ

競売物件の調査

競売物件は「不動産競売サイトBIT」で公開されています。

競売物件については、物件明細書・現況調査報告書・評価書が公開されていますので、まずはこれらの書類をよく確認することが重要です(いわゆる「3点セット」と呼ばれます。)。

上記のサイトからダウンロードできます。

物件明細書

→目的不動産の権利関係について、記録上表れている事実とそれに基づく法律判断に関する裁判所書記官の認識を記載したものです。

現況調査報告書

→競売物件の現況について、執行官が調査した内容が記載されているものです。

評価書

→不動産鑑定士による価格評価が記載されているものです。

注意事項

・占有者に関する事項

例えば、「本件所有者(又は債務者)が占有している」「〇〇が占有している、同人の占有はは、正常なものとは認められない」「〇〇が占有している。同人の賃借権は抵当権に遅れる。ただし、代金納付から6か月明渡しが猶予される。」という記載があることがあります。

占有者がいる場合には、基本的には競売物件を買い受け後、強制執行によりその占有を排除する必要があり、そのための費用や時間がかかります。

占有者の賃借権が、不動産競売申立人の抵当権に遅れる場合には、占有者の権利は買受人に対抗することができませんが、民法395条1項により6か月間は明渡しが猶予されることになります(※ただし同条2項との関係で実際に6か月間待つ必要があるかは別の話です)。

民法395条(抵当建物使用者の引渡しの猶予)

抵当権者に対抗することができない賃貸借により抵当権の目的である建物の使用又は収益をする者であって次に掲げるもの(次項において「抵当建物使用者」という。)は、その建物の競売における買受人の買受けの時から六箇月を経過するまでは、その建物を買受人に引き渡すことを要しない。

 競売手続の開始前から使用又は収益をする者

 強制管理又は担保不動産収益執行の管理人が競売手続の開始後にした賃貸借により使用又は収益をする者

 前項の規定は、買受人の買受けの時より後に同項の建物の使用をしたことの対価について、買受人が抵当建物使用者に対し相当の期間を定めてその一箇月分以上の支払の催告をし、その相当の期間内に履行がない場合には、適用しない。

・建物の敷地利用権に関する事項

例えば、「本件建物のために、その敷地につき借地権が存する。」「本件建物の敷地に関連して、建物収去・土地明渡訴訟における原告勝訴判決が確定している(〇〇裁判所令和(ワ)第〇号)」という記載がされることがあります。

敷地について元所有者の所有権がなく、一括して買い受けることができない場合には、建物を使用する限り土地の所有者に地代を支払う必要があります。

仮に、元所有者が地代の支払いを怠り、建物収去・土地明渡訴訟に敗訴した状況で買い受けた場合には、特別の事情がない限り建物の取り壊しを待つだけで価値のない不動産となります。

・マンションの滞納管理費

競売物件がマンションの一室で、元所有者が管理費を滞納していた場合には、区分所有法8条の規定から買受人(特定承継人)がその負担を肩代わりする必要があります。元所有者にその分の請求ができるとしても回収は著しく困難といえます。

区分所有法8条(特定承継人の責任)

前条第1項に規定する債権は、債務者たる区分所有者の特定承継人に対しても行うことができる。

※「前条第1項に規定する債権」は、マンション管理費にかかる債権です。

STEP
1

入札

不動産競売はオークション形式で、入札期間内にそれぞれ入札(買受けの申出)をし、最も高い値段をつけた人が最終的な買受人になります。

これを期間入札といい、その期間内に誰も入札しない場合には、最も早く入札した人が買い受ける特別売却が行われます。

入札する場合は8日間の入札期間の間に買受けの申出をする必要があります。

期間入札において、買受けの申出をする場合には、保証金として売却基準価額の2割の金銭を支払うか、金融機関等の支払保証委託契約締結書面を提出する必要があります。

入札時の買受希望価額は、売却基準価額の8割以上とする必要があります。

例えば、売却基準価額100万円の物件であれば、80万円以上の買受希望価額を設定する必要があり、入札時に20万円の保証金を納付する必要があります。

なお、保証金は落札できなかった場合には返金されます。

STEP
2

開札・売却許可決定

入札期間の満了日から1週間以内に開札の期日が開かれます。

誰が最も高い値段をつけたかがわかる期日です。

売却許可決定は、開札期日から3週間以内に行われます。

最も高い値段をつけた人が暴力団関係者でないこと等をチェックして、売却が許可されることになります。

STEP
3

代金納付・所有権移転

売却許可決定が公告され1週間が経過すると確定します。

売却許可決定の確定から1か月以内に代金を納付する必要があります。

入札時に2割の保証金を納付していた場合には、保証金は代金に充当され、このときに残りの金銭を納付することになります。

買受人が代金を納付したときに所有権が移転します。

※この時に所有権移転登記に伴う登録免許税を支払う必要があり、不動産価額の1000分の20です。

※金融機関から融資を受け、競売物件に金融機関の抵当権を設定する場合には、代金納付時までに買受人と金融機関とが共同の申出をする必要があります。

STEP
4

引渡命令・明渡しの強制執行

代金納付時に買受人が所有者となるため、仮に元所有者が競売物件に居住していたとしても、その時点から占有する権原がなくなります。

しかし、その後も元所有者や占有者が占有を続ける場合には、買受人が物件の所有権に基づいて、強瀬執行を行い、その占有を排除する必要があります。

引渡命令

引渡命令の制度は、明渡訴訟によらずとも債務名義を取得することができる制度です。

これによれば、明渡訴訟によることなく明渡しの強制執行を行うことができます。

引渡命令は、代金納付時から6か月以内に申し立てる必要があります。

明渡しの強制執行

引渡命令制度により取得した債務名義をもって明渡しの強制執行を行う場合は、明渡訴訟をして勝訴の判決を受けた後に行う場合と同様です。

詳しくは以下のコラムのとおりです。

建物明渡しを実現するまでの流れ

建物所有者が賃借人との賃貸借契約を解除し、建物明渡しの訴訟を提起し、占有者に明渡しを命じる判決が出たとして、判決後の建物明渡しの強制執行について紹介します。

STEP
5

費用について

競売物件を自由に使用するために必要な費用は大まかに以下のものになります。

  • 物件価額
  • 登録免許税(不動産価額の1000分の20)
  • 明渡費用(※占有者がいる場合)

おわりに

競売物件は、通常の価額より破格の値段で買い受けることができる可能性がありますが、それまで通常の方法で売却することができなかった物件ですので、何らかのいわくつきです。

競売物件を買い受ける際は、3点セットをよく確認して、マイナスの部分をよく把握しておくことが重要です。

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