令和5年6月1日より消費者契約法が改正され、契約取消権の追加・解約料の説明義務・免責範囲が不明確な条項の無効・事業者の努力義務拡充に関する各規定が追加されました。

契約の取消権追加

事業者による不当な勧誘は「誤認類型」と「困惑類型」に分けられ、それぞれ取消権が認められています。

今回の法改正では「困惑類型」に新しく3つの権利が追加されました。

誤認類型

  • 重要事項について事実と異なる説明がされた(不実告知)
  • 不確かなことを「確実だ」と説明された(断定的判断の提供)
  • 消費者に不利な情報を故意又は重大な過失により告げなかった場合(不利益事実の不告知)

困惑類型

  • 営業マンなどが強引に居座った(不退去)
  • 販売店などで強引に引き留められた(退去妨害)
  • 【追加】退去困難な場所に同行されて勧誘
  • 【追加】威迫いよる相談妨害
  • 不安をあおる告知
  • デート商法など
  • 高齢者等の不安をあおる
  • 霊感等の知見を用いた告知
  • 【追加】契約前に強引に代金を請求される
  • 分量や回数などが多すぎる(過量契約)

解約料の説明の努力義務

契約条項に基づいて解約料が発生する場合、事業者にはその額の算定根拠を説明する努力義務が課せられるようになりました。

これまでの消費者契約法では契約解除に伴う損害賠償や違約金の金額について「平均的な損害」の額を超える部分が無効とされていました。

しかし、「平均的な損害」がそもそも不明確で消費者と事業者の認識に齟齬があることが少なくないため、事業者に金額の説明義務が課されるようになりました。

免責の範囲が不明確な条項の無効

「法令に違反しない限り、10万円を上限として賠償する」

というような条項は面積の範囲が不明確なものとして無効になります。

これまでの消費者契約法では、事業者の故意又は重過失により消費者が被った損害に対する賠償責任を一部免除する条項は無効とされていました。

ただし、事業者に軽過失があった場合の損害賠償責任については一部免除することができます。

そのため、今回の法改正では事業者の損害賠償責任を免除する条項について、軽過失であった場合に限定していないものは無効となります。

事業者の努力義務の拡充

  • 消費者が有する解除権の行使に関して必要な情報を提供する
  • 契約締結の際、事業者は「個々の消費者の年齢、心身の状態、知識及び経験を総合的に」考慮する

→これまでは「個々の消費者の知識及び経験」を考慮するものとされていました。

おわりに

今回の消費者契約法改正は、消費者裁判手続特例法と併せて改正されました。消費者裁判手続特例法は、消費者被害に関する裁判上の扱いに関する法令です。これについてもあわせてチェックしてみてください。

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